Three cheers for Wildcat Island

Swallows and Amazons Forever

Wildcat Island

あこがれのヤマネコ島へ

 「ツバメ号とアマゾン号」の原作の地をたずねて、著者アーサー・ランサムの足跡を求め イングランドの山と川と湖をひとりで歩いてきました。
 原作の舞台となったのはイングランド北西部にある湖水地方のコニストン湖Coniston waterです。この湖には 物語にでてくる あこがれのヤマネコ島Peel Islandがあります。私は この湖を航海して ヤマネコ島に上陸すること、また 本に書かれている農家ハリハウにも泊まれたらいいな、という夢を持っていました。それに、「オオバンクラブの無法者」の舞台となったノーフォーク湖沼地方 Broadsのホーニング村で、ビュア川の流れを船でめぐることができれば。 さらに、「ひみつの海Walton-On-The-Naze のツバメ島へも紅海を歩いて渡れたらと、ランサムの作品の舞台になっているイングランドのあこがれの地を あちこちたずねて歩く旅に出かけました。
 持って行く荷物はアルパインザックひとつです。沢登りするときにいつも山で使っているものです。これをずっと担いで歩き回るので荷物は少なくしなければなりません。たくさん歩いて たくさん見てくるには、軽い荷物に限ります。それでも旅の帰りには、ランサムの原書をザックに入るだけ買いましたので とても重くなりました。

table talk

イングランドの山と川と湖を歩き回りたい

 ひとりで出かける旅は、自分の気に入ったところで、ゆっくり座り込んでハガキのスケッチを描くことができます。また、ツバメ島 Horsey Islandへの干潟をティティたちのように歩いて渡るために、潮が引くまで半日も海をながめてゆっくり待つこともできます。
 ユースホステルの食堂や列車のなかでひとりで座っていると、きっとたくさん現地のひとに話しかけてもらえます。英語が苦手などと言ってられません。ここではみんなが会話を楽しむことは当然のことのようでした。山やユースホステルで出会ったひとと気軽に Hello! や Hi! と言葉を交わせてもらえるのも この土地の暖かさだと感じました。ユースホステルのテーブルで向かい合わせになったのに 話かけないなんて考えられないことでした。
 B&B をやっておられるイングランドの家庭に いちど泊まってみたいとは思っていましたが、英語が得意でない私が泊まって大丈夫かな という不安もありました。当然のように、いっぱい話しかけてもらえますので、あとは度胸だけでなんとかなったのかな ?
 アーサー・ランサムが描いたのは1930年代のイングランドの自然です。それから90年くらい過ぎた今でも、山も川も湖も、ランサムが描いた頃のままに しっかり自然が保たれていると 歩いて感じられました。これには ナショナル・トラスト運動などの自然を守る活動や、ほんとうに大切なものをきちんと残す人々の努力があったからでしょう。
 このような自然の中をたくさん歩き回りました。朝のウインダミア湖をおおう深い霧に、私が ツバメ号のジョン船長のようにすっかり包まれてしまったこともありました。また、蒸気船博物館でフリント船長が使っていた ほんものの屋形船に入らせてもらったことがありました。そこにはお茶の用意や書きかけの手紙の並んだテーブルがあり、それを前に船室に座らせてもらったときにも。また 地図を見ながら探し回った森の中に 石造りの「犬小屋」そのものを発見したときなども、ほんとうに ここで起こった物語の中に 私もいっしょに入っているように思えたのです。

sketch myself

娘への旅のはがき

 旅に出るときには、いつも はがきサイズのスケッチ用紙を持っていきます。カメラのファインダーからのぞいたのでは、一瞬見るだけの風景ですが、スケッチで描こうとすると いっぱい見つめることになります。描き始めるとそれまで何でもなかった風景の中にたくさんの発見があります。はがき1枚描くのに時間がかかるのですが、これはとても大切でぜいたくな時です。
 旅のあとでそのスケッチを見なおすと、そのとき 屋上でコーラを飲みながら風に吹かれていたことや、木陰で座りこんで描いたことなど、そのときのゆったりした気持ちや さわやかな風まで思い出します。
 ここで見ていただく これらのはがきのスケッチは、家で待つちいさな娘を喜ばせようと旅の便りに絵を描いて送ったのものです。いまでは 旅のようすを描いたはがきを出すことが、わたしの旅の楽しみのひとつになっています。
walk next
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